理事長挨拶

日本気胸・嚢胞性肺疾患学会 理事長 門倉光隆

日本気胸・嚢胞性肺疾患学会
理事長 林 明宏

 本学会は1977年に「気胸研究会」として発足しましたが、20年後の1997年に「日本気胸学会」へとup-gradeし、さらに2003年から「日本気胸・嚢胞性肺疾患学会」へと呼称を変更して現在に至っております。
 本学会の主な対象疾患である気胸は、一般的には大半は10歳代後半~30歳代前半に発症する原発性自然気胸と、50~60歳代以降に発症する続発性自然気胸の二峰性を示しますが、原因としては、若年者に多い気腫性肺嚢胞(ブラ・ブレブ)の破綻のほか、特殊な疾患として、月経随伴性(子宮内膜症性)気胸、遺伝性疾患の遺伝性素因のBHD症候群、リンパ脈管筋腫症(LAM)などの全身性疾患があり、その他、ショック状態に至る可能性もあり、適切な緊急対応が必要な外傷性や特発性血気胸も重要な病態となります。
 また、嚢胞性肺疾患としては、新生児や小児においても、先天性嚢胞性肺疾患(CPAM, 肺分画症)などの疾患があります。
 これらのことより、様々な成因に着目した診療・研究姿勢が重要となり、嚢胞性肺疾患全般をテーマにし、内科・外科・小児科・放射線科・病理診断科の医師が一堂に会して討議する学術集会が重要であると考えております。
 一方で、気胸・嚢胞性肺疾患については未だ解明できていない事柄も多く、気胸の病態解明や再発率低下に向けた対策が喫緊の課題として、本学会では学術委員会のプロジェクトとして「肺病態から見た気胸」を学会誌増刊号として2020年に発刊を行い、その他、「天気と気胸の学術調査」「Birt-Hogg-Dube(BHD)症候群に掛かる実態調査」「特発性血気胸手術症例における輸血に関する実態調査」「気胸治療の実態調査」「自然気胸における胸膜癒着療法の安全性と有用性」などの他施設共同研究を進行させております。
 気胸や嚢胞性肺疾患は、呼吸器内科医、呼吸器外科医の専門医のみならず、市中病院では呼吸器専門外の内科医、外科医が診療にかかわる場面も多々あり、本学会としては、多くの医療担当者さらには医療者以外の方々にも、気胸に対する社会の認識をさらに高めることが気胸・嚢胞性肺疾患の治療成績向上に極めて重要と考えており、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

歴代理事長・歴代事務局